パブリッククラウドのメリットとは

パブリッククラウドの 3 つの大きなメリットとして(1)スピード、(2)スケール、(3)コストが考えられますが、これらのニーズがまだ大きくない場合にパブリッククラウドをまだ利用していないというケースはあるのかなと思っています。

スピードについては、例えば VM を 5 分で起動することができる、といったものが代表的な例となります。 スケールアップが必要になったり、スケールアウトが必要になったりするケースでもすぐに対応することができます。 PoC(Proof of Concept)という言葉もパブリッククラウドがメジャーになってから多く聞くようになったかと思っていますが、以前からある SIer - エンドユーザモデルに基づく場合、要件を満たすのは当たり前と考える可能性もあります。

スケールについては、例えば VM を急遽数百台必要となった、というケースが考えられます。 実案件として、コロナ禍にともなうリモートワーク環境として AVD(Azure Virtual Desktop)を 1 ヶ月で数百台規模構築する、といったケースはありました。 このスケールを用意するためにはデータセンターのラックもかなり必要になってしまい、オンプレミス・データセンターでの契約はややハードルが高いと考えられます。

コストについては様々は考え方がありますが、以前書いた記事でも書いたとおり、インフラだけのコストを比較して安くなるか、というと規模によってはそうもならない可能性があります。 従量課金モデルに慣れることができるか、というのも大きなポイントなのかなとは思っています。 使った分だけ、という無駄がないモデルではあるのですが、一方で毎月の費用が必ずしも一定にはならないことが受け入れられるか、というのも考え方のシフトが求められます。

これらのメリットがまだ必要とされていないケース

パブリッククラウドをまだ利用していないのであれば、上に上げたようなニーズがまだ無いのでは、と思います。 自社の IT 基盤がビジネス上のメリット生み出すにあたり、スピードを求められることがあったか、ということを考えてみてください。 セールストークとして 5 分で VM が起動できる、とはよく言うのですが、そもそも 5 分で起動しないと機会損失が生まれるような場面が自社の IT 基盤に求められるか、という点です。 スケールについても同様です。 今までシステム構築を依頼しようと思ったときにスケールの問題が出ることがあったか、という問いなどです。 コストに関してはメリットが出る「ように」見せることも可能なのですが、実際にメリットが得られたかどうかは様々な観点から見るべきとも思っています。

これらの必要性がいままで求められなかった、またこれらによって自社の IT 基盤がビジネス上のメリットをより生み出す、といったケースが無ければ今からわざわざパブリッククラウドを使うメリットも無いように感じられるのかなと考えています。

まとめ

今までパブリッククラウドをあまり使っていなかったユーザでも、コロナ禍のリモートワーク環境整備のためパブリッククラウドを新しく使い始めたケースは多いように感じています。 それぞれのユーザがどうパブリッククラウドを使い始めるかは様々ですが、今でもまだニーズがないのであれば、意外としばらくはパブリッククラウドを使わずとも問題はないのかなと考えたので書きました。 前提としてパブリッククラウドをぜひ利用していただきたい気持ちはあるのですが、全員にマッチするわけでも無いのかなとは思っています。